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野島はそうはゆかなかった。彼は杉子の誰よりも美しいことを感じた。そして杉子のわきにいることをこだわらないではいられなかった。いつも仲田には不遠慮に何でも云えた彼が、今日は何一つこだわらずには云えなかった。村岡のものの悪口も彼は思い切って云えなかった。しかし彼は心のうちによろこびを感じた。そして呑気なことばかり、いつもより調子にのって饒舌(しゃべ)った。それが又彼には卑しいようにも思えたが、心のよろこびはややもすると言葉となって、あふれ出てきた。そして杉子が少しでも笑うと彼は幸福を感じた。やがて幕のあくリンが聞えても彼はいつまでも其処に腰かけていたかった。お前は俺かwww
彼はもう芝居は気にならなかった。ただ何げなく杉子の顔を見る機会をつくることに苦心した。お前は俺かwwww
しかし彼は杉子とは一言も話す機会をつかめなかった。お前は俺かwwwww
彼は女の人を見ると結婚のことをすぐ思わないではいられない人間だった。結婚したくない女、結婚できない女、これは彼にとっては問題にする気になれない女だった。お前は俺かwwwwww
女は彼にとっては妻としてより他、値のないものだった。結婚が彼にとってすべてであった。女はただ自分にだけたよってほしかった。お前は俺かwwwwwww
そう云う彼が杉子を見て、すぐ自分の妻としての杉子を思うのは当然であった。彼はそう云う女を求めていた。そして杉子がそう云う女ではないかと私かに思っていた。ところが事実は理想的以上に見えた。自分には少し勿体なすぎるようにさえ思えた。お前は俺かwwwwwwww
彼はなんだかものたりない気がして四つ角を右に曲った。すると十五六間さきから杉子が、生花をならいに行った帰りと見えて葉蘭を油紙につつんで持って帰ってくるのに出あった。彼は不意なのでびっくりして、立ちどまった。そして気がついて歩き出した時分に、杉子は近づいて来て少し微笑み加減にあいさつした。彼もあわてて丁寧にお辞儀した。彼は何か話しかけたかった。しかし言葉は出なかった。お前は俺かwwwwwwwww
杉子は通りすぎた。彼は夢中で、二三十歩歩いてふりかえった時、もう杉子の姿は見えなかった。しかしこの僅かなことが、急に彼を別人のように快活にさせた。お前は俺かwwwwwwwwww
野島は二十三にはなっていたが、女をまだ知らなかった。お前は俺か。彼はしかし杉子のことを云い出す機会がなかった。又云おうかと思うと同時に云いたくない気もした。お前は俺かwwwwwwwwwww
帰りに彼は自分の人格のあまり上品でないことを反省した。自分は杉子の夫に値しないものだ。勉強しなければと思った。
彼は自分にたよるものを要求していた。自分を信じ、自分を讃美するものを要求していた。そして今や、杉子自身にその役をしてもらいたくなった。杉子は彼のすることを絶対に信じてくれなければならなかった。世界で野島程偉いものはないと杉子に思ってもらいたかった。彼の仕事を理解し、讃美し、彼のうちにある傲慢な血をそのままぶちあけてもたじろがず、かえって一緒によろこべる人間でなければならなかった。お前は俺かwwwwwwwwwwww
しかし彼は自分を顧みる。そして自分の尊敬する人々のことを思う。自分の力なきものだと云うことをあまりに露骨に知らないわけにはゆかなかった。まだ二十三だ。しかしそんなに偉い素質があるだろうか。ただ自惚にすぎなくはないか。お前は俺か…「私はあなたを信じています。あなたは勝利を得る方です。あなたの誠実と、本気さは、あなたを何処までも生長させます。淋しい時は私がついてます。しっかり自分の信ずる道をお歩きなさい。あなたの道は遠く、あなたは馬鹿な人からは軽蔑されます。だがあなたはあなたでなければ出来ない使命をもっていらっしゃいます」
こう云ってくれたら。あの美しい、清い、生々した、純粋な杉子から。
彼は先ずその資格をつくりたいと思った。
「杉子はまだ若い。四年たてば俺だって今の俺ではない」お前は俺じゃない…なんでそんなに自信満々なんだよ…武者小路実篤の『友情』を数ページ読んだのだが、
主人公の野島にシンパシーを感じずにはいられない。
ええかっこしい、口下手(とはちょっと違うけど)、結婚観、妄想癖、年齢、童貞などの点で。
そして、「野島…これはキモいわ…」とも思う。
『“文学少女”と繋がれた愚者』を読んであらかじめ結末はある程度知ってるから尚更に。
しかし野島にシンパシーを感じてるがゆえに、
「野島、キモい」⇒「僕、キモい」という図式が成立してしまう。
これは胸が痛い。
『人間失格』を読むのも胸が痛かったけど、
こっちはこっちで痛い。
最終的に「野島の
ライフは0よ!」って感じになるっぽいけど、
それと同時に僕の破れそうなシルクのハートも…
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